残存者利益とは

中小企業診断士の皆さんはご存じだと思いますが「残存者利益」という経済用語があります。

「残存者利益」とは、競争が終わった後の縮小傾向にある、あるいは縮小してしまった一定の市場において、競合他社が撤退し、生き残った企業が市場を独占することで得られる利益のことになります。

ここまでくれば、ライバルもいなくなり、また、市場も大きくならなければ、新規参入者もいないということで、非常に妙味のある事業と言えますし、中小企業の存在感が出せる状況だと思います。本日のブログは、「残存者利益」とまでは言えないかもしれませんが、「残存者」という言葉を想起させる会社に出会ったので、ご紹介したいと思います。

(出典:公益社団法人日本ボウリング場協会【広報資料】令和4年度長寿ボウラー番付 のデータをグラフ化)

自宅の最寄り駅の脇にボウリング場があります。ボウリングと言えば私が小さい頃に一世を風靡しました。以下のグラフを見ていただくと1970年から急激に市場が拡大し1972年をピークに1976年には今と同程度の規模まで減少しました。この当時、ボウリングセンターに新規参入し、早くに見切りをつけ撤退した会社はトータル赤字であったかもしれないくらい、非常に短期間に大きな山ができ、そして無くなりました。その当時の名残だと思いますが、私よりも少し上の60代以上の方々はマイシューズやマイボールを持っていて、アベレージが200点以上という方もいらっしゃいます。週末やアフターファイブにボウリング場に足を運んでいる方もいらっしゃるようです。

このボウリングセンターがある意味、残存者利益を得ているといえるのかもしれませんが、本日、お伝えしたいのはボウリングセンターではありません。私が感じた残存者とはボウリングのピンをメンテナンスする会社です。

前述の通り私の日頃使う駅のそばにボウリングセンターがあります。この地に住みだした35年前から変わらずにあり、老若男女問わず、朝から晩までピンを倒すことに熱中しています。あまりに日常なので日頃は気にもとめていないのですが、ある日、こんなところに扉があったんだというところにトラックが横づけされていました。通りがかりに荷台を覗き込むとピンが入ったケースが積み上げられていました。

新しくなったピンが下され、傷だらけの古いピンが積まれています。こんな仕事があるんだと思いました。インターネットで調べてみても、そのようなことをしている会社は殆ど出てきません。因みにボウリングのピンを製造している会社は既に日本には無さそうです。35年一度もお目にかかったことのない光景です。このボウリングセンターが最近になってピンのメンテナンスを始めたわけではないでしょうから、本当にたまの機会にたまたま巡り合わせたから知ることが出来たのだと思います。

こういった業種がピーク時に何社あって、今は何社になっているのかさえ分りません。もしかすると残存というプロセスも無かったのかもしれません。ただ、この全国にある670くらいあるボウリングセンターが数年に1度、ピンをメンテナンスする際に、順繰り順繰り繰り返し受注していけば、十分商売になっていることを知った次第です。多分、これらの企業は営業も値段交渉も必要ないでしょう。

日頃、意識しないけど、そんなニッチな仕事がもっともっとあるのではないでしょうか。目立つ必要もなく、宣伝や営業をする必要もなく、請け負った仕事をちゃんとやることで企業が存続できるのは、冒頭にも書いた通り、中小企業のあるべき一つの姿なのではないかと考えています。因みに皆さんはこんな仕事があるのをご存じでしたか?思わず、お伝えしたくブログに記しました。本日もお読みいただきましてありがとうございました。

 

本記事は、以下のサイトで公表したものの再掲(一部修正)となります。

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