同じ日に幕を閉じた二人の女性経営者から学ぶ

私は長年、2人の女性経営者を遠くから応援してきましたが、偶然にもお二人とも10月31日をもって事業を閉じられました。

 お1人目は「あきた森の宅配便」の代表です。

https://akita-mori.com/

2016年にテレビ朝日「日本のチカラ」で取り上げられているのを見て以来、季節の山菜を通販で購入するなどして応援していました。代表の栗山奈津子さんは“なっちゃん”の愛称で親しまれ、20代で地元秋田に戻って起業。地元のおじいちゃん、おばあちゃんが採った山菜を、個人宅から都市部の料亭まで届ける事業を続けてきました。

 この事業のコンセプトは「天然山菜を食べたい、あの人に贈りたい——そんなあなたに代わって山の名人が山菜を探しに行く」というもの。近年は苗字も変わり、生活も事業も順調に見えていました。しかし、ここにきて“熊被害”の急増によって山に入れなくなり、秋本番を前に廃業を決断されたとのことでした。

 もう一方は、ホテルニューオータニの靴磨きコーナー「shoe shine」の代表です。私が四ツ谷勤務の頃、「大手ホテルには必ず靴磨き職人がいるはずだ」と思い立ち通い始めました。オーナーは靴への愛情が深く、素手で丁寧に磨いてくださる方でした。手が荒れない特別な原料を使っているそうで、革靴にもよく馴染んだように感じます。

ただ、急な事情でお休みになり、昼休みに行ってもお会いできないこともあったため、告知方法など少しアドバイスを差し上げることもありました。ここ1年半は伺えていませんでしたが、閉店当日の朝に突然の案内がありました。事前告知をするとお客様が殺到するので、と考えた末の急なご連絡だったようです。お仕事への愛情を感じていた方だっただけに、閉店するとは思っていませんでした。「最後に磨いていただきたかった」と強く思いました。

お二人が事業をたたまれた理由は異なるものの、たくさんのファンを持つ方々が事業を続けられなくなることの寂しさを感じると同時に、“事業だけが人生のすべてではない”という共通点に気付きました。 山に入る仲間であるおじいちゃん・おばあちゃん、あるいは大切なご家族——それぞれが守りたいものを守るための選択だったのだと思います。今回の出来事を通じて、経営者の価値観や人生観も踏まえたアドバイスができる診断士でありたいと改めて感じました。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 本記事は、以下のサイトで公表したものの再掲(一部修正)となります。

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